- SATO RYOJI

- 6月21日
- 読了時間: 2分
今回のブログは去年の6月頃に観に行ってきた静岡県立美術館、テオ・ヤンセンの「ストランドビースト」展についての感想です。私自身の制作がカラクリや生命に対する解釈を利用した世界観なのでテオ・ヤンセンの作風は参考になると踏んでの静岡遠征でした。
オランダの作家、テオ・ヤンセン。私にとって風の力で海辺を走るカラクリ「ストランドビースト」はとても精巧な技術による制作のイメージがありました。ただ実際は細やかな物理計算により実現された立体物であり、特別な素材や技術を必要としたものではありませんでした。展示ブースには現地のホームセンターで集めたパイプ素材などのコーナーがあり、それ以上の素材は使用されていないとも、、。想像の中から生まれたものとして他の芸術作品となんら違いはないものの、その出自が物理知識と試作の中で育まれていて異質さを感じます。また作品形態や展示文なども面白いです。カンブリア紀の生物進化に関する分岐のような設定がストランドビーストの現時点に到達するまで記録、展示されていました。これは作品のインパクトに対して世間に広まっていないように思いましたが、過去の試作やその分岐がどう繋がっているのかを追うのが作品の深みと展示空間に良い影響を及ぼしていました。
世界観と扱う素材の関係に絶妙なギャップ感がありつつ、その内容を追うと手製の研究としてとてもマッチしている。単品で面白い作品であろうと内容の難しさから敬遠されてしまいやすいタイプだと思いましたが、きちんと一般の鑑賞者がなぞる筋書きが世界観の中に内包されていて強かな制作だと思いました。
私も近いタイプ、難解な制作なのでこの構成を取り込めると面白いし好ましいかと思います。ただバックナンバーが3号目に取り組んだばかりではあるので、分厚く見せるのは今後の課題でしょう。丁寧に仕立てて来年の個展に間に合わせたいと思っています。







コメント